ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「お前は……私が王族だから側にいるのか? もし、私が王族でなかったら……お前はどうするんだ?」
「その時は……」
彼とは打って変わって。洸流の言葉に迷いはなかった。
「対等の男女として、接します。
――愛していますから」
また、風が吹く。
ティードリオスは、苦笑を洩らして彼女を抱き締めた。
「私は、確かに王族だ。それは、否定できない。
だが……お前を愛する。一人の男として」
両手で、彼女の頬を包み込む。
「……それで、いいか」
「ええ、ティオ」
春に陽射しに伸びた、2人の長い影が、重なった。
それを見届けたミルドレインは、今は無粋な真似はすまいと、黙ってモニターを切った。
婚約の正式な発表の申し入れ、挙式を七月二五日にし、先日完成した第九期の公表を同日に行いたいという進言。それらを二人が持ってきたのは、その日の夕刻のことだった。
◇◆◇◆◇
「その時は……」
彼とは打って変わって。洸流の言葉に迷いはなかった。
「対等の男女として、接します。
――愛していますから」
また、風が吹く。
ティードリオスは、苦笑を洩らして彼女を抱き締めた。
「私は、確かに王族だ。それは、否定できない。
だが……お前を愛する。一人の男として」
両手で、彼女の頬を包み込む。
「……それで、いいか」
「ええ、ティオ」
春に陽射しに伸びた、2人の長い影が、重なった。
それを見届けたミルドレインは、今は無粋な真似はすまいと、黙ってモニターを切った。
婚約の正式な発表の申し入れ、挙式を七月二五日にし、先日完成した第九期の公表を同日に行いたいという進言。それらを二人が持ってきたのは、その日の夕刻のことだった。
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