ティードリオス ~わが君にこの愛を~

「殿下! 前に出ないで下さい!」

 洸流は叫びながら光砲《ガルトセルン》を撃つ。後ろにいたティードリオスが、右から敵に突撃したのだ。

『お前のオートにさせてもらった。』
「は?」
 思わず、素っ頓狂な声を上げた。

「殿下、危険です! マニュアルに……!」

『お前の方が動きがいいからな。悪いが、援護を頼む』

 自分の動きを転写したオートなので、確かに予測はできるが……。

 ――仕方ない。
 意を決して、彼女はGMRを構えた。デューレック用の接近用武器――要するに剣だが――OMRに比べると、かなり違うが基本は同じだ。
 焦っていた。これに乗っているのが自分だと気づかれてはならない。敵は、飽くまでラインハルトを――ティードリオスを狙っているのだ。自分は陥ちても、ティードリオスは――あのデューレックだけは守らなくては。

 ――四五機。
 ――四六機。

 王城脱出の時から、屠ってきた敵の数を数える。ラインハルトに乗り込んでから、六時間以上が経っていた。断続的に敵ヴィーセンタ――中の上のコーレックが大多数だが――と戦闘し、心身ともに疲労していた。

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