ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「……では、大事になる前に戻ってくれ」
ミルドレインが言う。ヴィーセンタの格納庫。夜明けも間もない時間である。
彼女は、いつもの軍服でなく、王族の礼装を纏っていた。最愛の弟の結婚式があるのだから、当然なのだが。しかし、彼女の目の前に立つ弟と義妹は、軍服姿だ。洸流について述べるなら、聖騎士の服装のまま。
はっきり言って、こんな場合ではない。現に今も、衣装合わせをはじめ、様々な場所に主役の2人がいないので、ちょっとした騒ぎになっている。このまま見つからなければ、大混乱となるだろう。だが、姉はそれを気に留めた様子はない。
「生きて戻れ」
そう言うと、ヴィーセンタに乗り込む二人を見送る。格納庫の扉が開き、迷彩状態の二機――姿が消えているのでその目で見たわけではないが――が去ったのを見て、事態を誤魔化すべく格納庫を出た。
◇◆◇◆◇
ミルドレインが言う。ヴィーセンタの格納庫。夜明けも間もない時間である。
彼女は、いつもの軍服でなく、王族の礼装を纏っていた。最愛の弟の結婚式があるのだから、当然なのだが。しかし、彼女の目の前に立つ弟と義妹は、軍服姿だ。洸流について述べるなら、聖騎士の服装のまま。
はっきり言って、こんな場合ではない。現に今も、衣装合わせをはじめ、様々な場所に主役の2人がいないので、ちょっとした騒ぎになっている。このまま見つからなければ、大混乱となるだろう。だが、姉はそれを気に留めた様子はない。
「生きて戻れ」
そう言うと、ヴィーセンタに乗り込む二人を見送る。格納庫の扉が開き、迷彩状態の二機――姿が消えているのでその目で見たわけではないが――が去ったのを見て、事態を誤魔化すべく格納庫を出た。
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