ティードリオス ~わが君にこの愛を~
ティードリオスは、無言で懐から取り出したレリーフを投げた。それを受け取り、悠夾が面白そうな顔をする。
「へえ……まだ残ってたんだ。どこにあったの?」
「洸流の……お前の実家だ。間違いないな?」
「大正解」
悠夾は、小さな肩を聳やかし、
「いかにも。ボクは、嗣庚(しこう)王家の末裔さ。
でも、分からないな。どうしてここまで? 確かに、あのヴィーセンタを嗣庚に持っていったけど……それだけじゃないでしょ?」
「王家の杖を行使できるのは、王家の血を引く者だけ。嗣庚というヒントは、お前がくれた。……余裕を見せすぎたんじゃないか?」
その一言に、悠夾の表情が引きつった。
「何故、杖のことを……」
「感覚が、酷く似ていた。……いや、同じだった。私が見た、王家の杖と」
「話が掴めないな。200年前に滅びた杖を、どうしてお兄ちゃんが知ってるの?」
「私は、2人分の記憶を持っている」
唐突に切り替わった話に、悠夾が眉をひそめる。だが、それに構わず続けるティードリオス。
「四年前に、ある人物の記憶を受け継いだ。彼女が死ぬまで、二一年間の記憶を。
彼女の名は、リリア。1500年前の、フェルキンド王族の祖先だ」
「リリア? 聞いたことないよ?」
「別の名も、ある」
ティードリオスは、悠夾を見据えながら、その名を口にした。
「リーリアント」
悠夾の顔が、変わった。
「へえ……まだ残ってたんだ。どこにあったの?」
「洸流の……お前の実家だ。間違いないな?」
「大正解」
悠夾は、小さな肩を聳やかし、
「いかにも。ボクは、嗣庚(しこう)王家の末裔さ。
でも、分からないな。どうしてここまで? 確かに、あのヴィーセンタを嗣庚に持っていったけど……それだけじゃないでしょ?」
「王家の杖を行使できるのは、王家の血を引く者だけ。嗣庚というヒントは、お前がくれた。……余裕を見せすぎたんじゃないか?」
その一言に、悠夾の表情が引きつった。
「何故、杖のことを……」
「感覚が、酷く似ていた。……いや、同じだった。私が見た、王家の杖と」
「話が掴めないな。200年前に滅びた杖を、どうしてお兄ちゃんが知ってるの?」
「私は、2人分の記憶を持っている」
唐突に切り替わった話に、悠夾が眉をひそめる。だが、それに構わず続けるティードリオス。
「四年前に、ある人物の記憶を受け継いだ。彼女が死ぬまで、二一年間の記憶を。
彼女の名は、リリア。1500年前の、フェルキンド王族の祖先だ」
「リリア? 聞いたことないよ?」
「別の名も、ある」
ティードリオスは、悠夾を見据えながら、その名を口にした。
「リーリアント」
悠夾の顔が、変わった。