ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「そうか……あの女か……。
成る程、それで杖のことを知っているんだね。生まれる前に死んだボクが、生きていることにも納得したわけだ」
「……知り合いか?」
「直接は知らないよ。ただ、ボクたちみたいにハザマで生きる人間は珍しいから」
「ハザマ?」
「知らなくていいよ。お兄ちゃんは」
言い、悠夾が翳した手の先に、黒いワンズが浮かぶ。
「死んで。お兄ちゃんを殺して、この国を滅ぼして、ボクはお姉ちゃんとハザマで生きる」
「……やはり、そういうことか。
お前の……洸流の両親は、王家と、この国の為に死んだ。お前自身も、だ。
命を奪った、フェルキンドが気に入らないということか。
そして、因縁の日に、お前の大好きな姉が私と結ばれる。さぞや、腹が立っただろう」
「うるさい!」
力が、発する。
一見、それはティードリオスに収束するかに見えた。だが、霧散する。
「――?」
「強き杖は他の杖を呼び起こし、強き杖の崩壊は他の杖を滅ぼす」
浮上しているラインハルトの前に発生した力。それを操りながら、ティードリオスは言葉を紡ぐ。
「知らないのか?」
彼の手元に、白に金の装飾のワンズが浮かんでいた。
今度こそ、余裕を無くした表情で、悠夾は、
「リーリアントの杖に触発された、ってとこ? ……ふん」
より、力を収束させながら、叫ぶ。
「だから、何だ ボクの杖はお前程度のものじゃない! お前の杖は、弱くて、未熟だ!
本気を出せば――」
と、音が響く。
成る程、それで杖のことを知っているんだね。生まれる前に死んだボクが、生きていることにも納得したわけだ」
「……知り合いか?」
「直接は知らないよ。ただ、ボクたちみたいにハザマで生きる人間は珍しいから」
「ハザマ?」
「知らなくていいよ。お兄ちゃんは」
言い、悠夾が翳した手の先に、黒いワンズが浮かぶ。
「死んで。お兄ちゃんを殺して、この国を滅ぼして、ボクはお姉ちゃんとハザマで生きる」
「……やはり、そういうことか。
お前の……洸流の両親は、王家と、この国の為に死んだ。お前自身も、だ。
命を奪った、フェルキンドが気に入らないということか。
そして、因縁の日に、お前の大好きな姉が私と結ばれる。さぞや、腹が立っただろう」
「うるさい!」
力が、発する。
一見、それはティードリオスに収束するかに見えた。だが、霧散する。
「――?」
「強き杖は他の杖を呼び起こし、強き杖の崩壊は他の杖を滅ぼす」
浮上しているラインハルトの前に発生した力。それを操りながら、ティードリオスは言葉を紡ぐ。
「知らないのか?」
彼の手元に、白に金の装飾のワンズが浮かんでいた。
今度こそ、余裕を無くした表情で、悠夾は、
「リーリアントの杖に触発された、ってとこ? ……ふん」
より、力を収束させながら、叫ぶ。
「だから、何だ ボクの杖はお前程度のものじゃない! お前の杖は、弱くて、未熟だ!
本気を出せば――」
と、音が響く。