ティードリオス ~わが君にこの愛を~
「洸流(こうりゅう)」
去ろうとした彼女は、急に名を呼ばれ足を止めた。
「で、殿下!」
慌てて跪く。もう会うこともないと思っていたのだが。
「来てくれ」
王族の衣装を纏った彼は、言って歩き出す。洸流は、首を傾げたくなったが後に続いた。
「すまなかった。面倒に巻き込んで」
「い、いえ。もったいない。自分こそ、殿下に弁護していただいて……」
「……私のせいだからな」
会話をするうちに、扉の前に着く。元々、彼女が立ち入れるような場所ではないので、どこかも分からない。
扉の向こうを見て、驚愕した。豊かな金髪に意志の強い翠の瞳。ティードリオスによく似た、整った顔立ち。紛れもなく、第一王女ミルドレインだった。
何故――何故、自分如きが? このような所に? 一瞬混乱したが、すぐに現実に戻る。
肩を叩かれたのだ。
「緊張するな。入って」
ティードリオスに言われるままに入ると、すぐに近衛兵が退出した。残ったのは、王女と王子と白衣を着た二人、そして彼女。
白衣の一人が、彼女にファイルを渡した。一応、視線で尋ねてから開く。
目を見張る。最初に飛び込んできたのは、杖と翼の意匠の紋章――王家のものだ――を刻まれた、開発中らしいヴィーセンタの写真だ。
去ろうとした彼女は、急に名を呼ばれ足を止めた。
「で、殿下!」
慌てて跪く。もう会うこともないと思っていたのだが。
「来てくれ」
王族の衣装を纏った彼は、言って歩き出す。洸流は、首を傾げたくなったが後に続いた。
「すまなかった。面倒に巻き込んで」
「い、いえ。もったいない。自分こそ、殿下に弁護していただいて……」
「……私のせいだからな」
会話をするうちに、扉の前に着く。元々、彼女が立ち入れるような場所ではないので、どこかも分からない。
扉の向こうを見て、驚愕した。豊かな金髪に意志の強い翠の瞳。ティードリオスによく似た、整った顔立ち。紛れもなく、第一王女ミルドレインだった。
何故――何故、自分如きが? このような所に? 一瞬混乱したが、すぐに現実に戻る。
肩を叩かれたのだ。
「緊張するな。入って」
ティードリオスに言われるままに入ると、すぐに近衛兵が退出した。残ったのは、王女と王子と白衣を着た二人、そして彼女。
白衣の一人が、彼女にファイルを渡した。一応、視線で尋ねてから開く。
目を見張る。最初に飛び込んできたのは、杖と翼の意匠の紋章――王家のものだ――を刻まれた、開発中らしいヴィーセンタの写真だ。