君の瞳に映る色
もちろん一昨日は全力で
拒否したのだ。

繋ぐ意味がわからないし人前で
手を繋ぐなんて恥ずかしい。

それをそのまま言ったら、
玄関先で抱き寄せられた上に
「それ以外を希望?」などと
言われて襲われかけた。


冗談なのか本気なのか
相変わらずわからない玲を
思わず引っ叩いてしまったら
不機嫌になった上に、無言で
がっちりと手を繋がれ
離してもらえなかった。

そんなわけで昨日も今日も
大人しく手を差し出す
ハメになっている。

何かされるくらいなら手を
繋がれていた方がまだマシだ。

そう思いながらも
高まっていく緊張に身体の
温度も上昇する気がする。

少し冷たい風が頬に心地よかった。





平日の午前中の図書館は人が
疎らでのんびりとした空気が
漂っていた。

日当たりのいい窓際の席に
ぽつぽつと人がいるのを
眺めながら、
棗は目的の本を探した。

思った以上に大きい図書館で
本の種類もとても充実していた。
奥にある洋書コーナーは
2階部分の下にあり陰に
なっていて少しひんやりとする。




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