君の瞳に映る色
「友達っていいものね」
柔らかい微笑に瑠璃はトクンと
心臓が跳ねた気がした。
「心配してもらうのは
初めてだわ」
目を伏せて幸せそうに笑う棗の
横顔を、瑠璃は静かに見ていた。
一呼吸置いて棗は口を開く。
「今は、高槻玲の家にいるの」
ぼんやりと棗を見ていた瑠璃は
一瞬なんのことか理解できずに
ポカンとする。
「……えぇ?!
高槻って会長さんですか?」
そうよ、とあっさり認める棗に
瑠璃は呆然と瞬きを繰り返す。
「えっと、それって一緒に
住んでるんですよね?」
またしても真顔で頷いた棗に
瑠璃は目を丸くする。
「あ、わかりました!」
ひらめいた、と言う感じに
瑠璃は少し声を荒げた。
「西園寺さんて高槻さんと
付き合ってたんですね!だから
婚約が嫌だったんですね??」
棗は顔をしかめてすぐに
その言葉を否定する。
「なんでわたしがあの男と
付き合わなきゃいけないのよ」
瑠璃は笑顔で、学校で見た時
お似合いでしたよ、などと言う。