君の瞳に映る色
好きじゃないんですか?と
聞かれて棗は咄嗟に言葉に
詰まった。
「……嫌いじゃないけど」
悩んだ末に、棗は答えた。
嫌い、とは言えなかった。
棗の様子に瑠璃はまた
にっこり笑う。
「そういえば、高槻さんは
家ですか??」
棗は思い出したように
スーパーを振り返る。
入り口はまだ暗く
閉ざされたままだ。
「風邪を引いたみたいだから、
薬と氷を買いに来たの」
「それなら、この先の薬局は
開いてますよ」
こっちです、と瑠璃が先を
歩き始めたので、棗はその後を
ついて歩いた。
「冷やすのなら、コンビニにも
ありますよ」
へぇ、と聞きながら感心する。
コンビニは利用した事もないから
何が売っているのかも
よくわからない。
24時間開いている意味も
よくわからなかったが、
こういうときに役に立つのかと
心の中で納得した。
行きかう人々の波に乗るように
2人は少し先の薬局を目指した。