君の瞳に映る色
ずっと座っていたせいか
身体が固まって動かない。
痺れた足に力を入れた時、
絢の後ろに人影を見つけた。
「!!…あやさんっ」
伝えるよりも先に影が絢を
羽交い絞めにした。
「きゃっ……!!」
影が絢の口を塞ぐ。
街灯の光に照らされて影の姿が
ぼんやりと闇の中に浮かんだ。
夜風で冷えた身体がさらに
冷たくなるのを棗は感じた。
人影には見覚えがある。
スーパーで一瞬見かけた、
あの、人影。
強い殺意を感じた、あの。
その視線に気持ち悪さを
感じつつも棗は絢を助けようと
男の腕を剥がす為に力を込める。
「実物はもっといい女だな」
棗の力が弱いのか、まったく
気にならない素振りで男は
のんきな声で言った。
息苦しさでもがく絢の首筋に
顔を埋めると白い肌に舌を
這わせる。
「んんーっっ」