君の瞳に映る色


色味のないその顔を
見ているだけで目頭が熱くなる。

そっと頬に触れると自分の
指先と同じくらい
冷たかった。

言いようのない焦りが
胸に広がる。

見ていられずに目を伏せると、
冷たい指先が
棗の首筋をなぞった。

玲の目線の先を悟って、
「血が、欲しいの?」
と、呟く。

玲がハッとしたように
棗と視線を合わせた。

玲の瞳が揺らぐ。

棗は玲の頭を抱えるように
抱き締めた。

「あげるわ、
わたしはあなたのものだもの。
元気になるなら、
身体中の血をあげる」

身体を離して玲の顔を覗きこむ。

「お願い、あげるから、
死なないで…」

溢れた雫が頬を伝った。

「…いいの?」

問いかけに棗は無言で頷いた。






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