君の瞳に映る色
考え込むように黙った玲は、
しばらくして
棗の背中に手を回す。
首筋に顔を寄せながら、
「少し痛いかも」
と囁くように言う。
吐息が首筋をくすぐる。
妖しい感覚に曖昧に返事をした。
覚悟をしていても早くなる鼓動を
押さえられない。
緊張する身体に玲の唇が触れる。
熱く柔らかい感触に身を委ねて、
棗は固く瞳を閉じた。
痛みは特に感じなかった。
ドキドキしすぎたせいかも
しれない。
どのくらいの時間
そうしていたのか、玲が
身体を離すと膝の力が抜けた。
絨毯の敷かれた床に
ペタンと腰を落とす。
玲の名前を呼ぼうとした時、
広間の扉が開いた。