君の瞳に映る色

突然灯された明かりに目が眩む。


「出てこい、遊びは終わりだ」


広間に櫂斗の声が響いた。
その声に棗は忘れかけていた事を
思い出す。

無理やり飲まされた
ヴァンパイアになるための薬。

思わず首筋に手を当てた。

言葉を発しかけた棗の口元に
玲が指をあてる。

棗が言葉を飲み込むと同時に
玲は立ち上がった。

「覚悟はできたか?」

玲の姿を認めた櫂斗が
口端で笑う。

「こいつの持っている銃で
心臓を撃てばおまえは灰になる」

一色が玲に向けて銃を構えた。

カチリと安全装置を外す音が
妙に大きく響いた。


「やめて!」


不意に立ち上がった棗に櫂斗が
目を見張る。

意表を突かれたようだった。







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