運命の彼は16歳上の山形訛り
『ちょっと電話しようよ』とmailに携帯番号が張り付けてあった。
R・・・すぐにかけてみると北斗の拳のメロディが流れたあとごそごそと東北訛りの効いた声が聞こえてきた。
『もしもし愛?』
「はい」
『緊張しなくていいよ。本当にあってくれんの?』
「はい。・・・・・・なんでですか?」


『できればホテルでゆっくりしたいと思って』


少し迷ったが、出会い系に登録した時点でこうなることは覚悟していたし、興味があったので断りはしなかった。
タッキーの事もmailして相談などしているうちに信用していたから嫌だとは思わなかった。でも

『落ち着いて話したいと思って。』
「話だけなら別の場所でも・・・」
やっぱり自身がなくて私はそういった。
『何もしないから』
その言葉に安心して約束をOKした。



そして当日。家族には今まで引きこもっていた私がいきなり遊びにでると心配させるので、ないしょで家を出た。
駅前までのバスが出ている停留所まで自転車をこいでいく。身体にあたる風が気持ちいい。mailを2ヶ月やり取りしてきたけど、どんな顔で私と会ってくれるんだろうと楽しみで待ちきれない。向かうバスの中でも、どんな初対面になるのか、どんなことをするのかずっと考えていた。
「タッキーさん駅に着きましたよ」
タッキー『もう少しで着くよ』
ドクン、ドクンまだかなぁまだかなぁ・・・
タッキー『着いたよ、下のタクシー停まってるところ』
タッキーから電話がきた。黒い車の窓から、こちらに手を降っているのがタッキーだった。
「は、初めまして。宜しくお願いします」
緊張して声が震えていたと思う。
そんな私を優しく車に招き入れた。

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