顔面ヤクザ×強気な彼女
1.本当のボス?
『……柏原、遅いぞ』
「……」
先生が一歩引き目にある男を注意した。
その言葉を無視し、無言で席につく。
ボソボソ
「…今ごろきたよ、」
ボソボソ
「5限目にボス登場。」
ボソボソ
「相変わらずこっえ~顔。」
ボソボソ
「ばっか、聞こえたらどうするんだよ。殺られるぞ!」
周りの人はこんなことを言ってる。
ボス、と呼ばれるこいつの名は柏原優月。
顔が怖いと言われ、まるでヤクザだと誰かが言った。
そして噂が噂を呼び、肥大して柏原優月がヤクザだとか言ってる人もいる。
……んなわけあるかい!
ただちょっと見た目が怖くて、目付きが悪いだけで皆妄想を膨らませて楽しんでいる。←
「今日はちゃんと登校してんだね、ボス」
「だねぇ」
「相変わらずこっわいねぇ。」
「ん~?そう?」
そう隣で言っているのは私の友達、若園秋葉。
ボスを横目に見ながら私に話しかけてくる。
「……。」
私が適当に返事を返すと、妙な顔つきで私のことをじっと覗き込んでくる。
変なものを見るような顔で。
「…何よ、秋葉」
「ありえない!あれが何で怖くないのよ?」