王子様のお妃候補?
さすがのアリュエインも長旅を続けて帰って来たばかりの身体はくたくたでした。
だから、早めに休みたいと思っていましたが、王様が威厳ある美声で娘たちに歓迎の答辞をしてしまいアリュエインは、げんなりしていました。
(早く部屋に行きたいよ…。王様も少しは僕らが今日着いたばかりって気にしてくれてもいいじゃないか〜!)
こっそりとため息をつきながら、今か今かと王様の話が終わるのを待ち続けました。
…話は右から左につきぬけて、全然頭に入っていませんでしたが…。
「―…というわけで、君たちはこれから王子と暮らし、互いに相手を理解しあい、そこで誰が婚約者になるか決めてほしい。これは当人たちの問題として、私たちは何一つ口だしをしない。もちろん、誰が婚約者でもいいが、どちらも合意の上であることが条件だ。」
王様の話す言葉に真剣に耳を傾けていた四人の娘たちは、
「「「「はい」」」」
と笑顔で答えてから、互いに火花を散らせていました。
アリュエインは、まぶたが落ちないように集中していて、それどころではありません。
(眠………。……まぶたが……おも……い…。)
それでも眠らないように、丈の長いコートに手を隠して手をつねったりして何とか起きていました。
(…いたた!うー…早く終わらないかな?手が赤くなってると思うんだけど…。)
アリュエインの願いが通じたのか否か、王様が「最後に」と口を開きました。
「最後に、今、王子を呼ぶから自己紹介をしてほしい。」
王様の言葉に、娘たちは”きゃー王子様が来るわ”と盛り上がりました。
アリュエインはというと………
(………ZZ)
立ったまま寝ていました。