王子様のお妃候補?
器用に寝ていたアリュエインの耳に突然、
ギギィ…
と重苦しい扉が開く音と
”きゃーー!素敵!!”
という娘たちの嬌声(キョウセイ)が聞こえてきました。
その黄色い声に、アリュエインはハッと目を開けました。
そして、ぼーっとした頭で目の前の状況を理解しようとしました。
(……何があったんだ…?)
四人の娘たちが何やら顔を赤くしながら(主に頬)一点を凝視しています。
(…?)
訝しく思いながらも、アリュエインはまた閉じそうになる目を向けて………これ以上ないほど、目を見開きました。
カツカツカツカツ
規則正しい靴音を鳴らしながら歩いてくるのは、今まで見たこともないほどの美しい青年でした。
(……っあれが…シークラント・レイ・アルファティア……)
一気に眠りから醒めて、アリュエインも王子様をじっと見つめました。
王家特有の金色…というか黄金色の髪を歩く時にできる微風ですらもサラリと靡(ナビ)かせ、鼻筋はスッと線を入れたように整わせた、カッコイイというよりも”美しい”青年。
しなやかな駿馬のように細身の身体でマントをはらいながら歩く姿は、気品、そして王子としての誇りも感じられ、アリュエインはその颯爽とした姿に目が離せなくなりました。
(…王子様を具現化したような方だ。……目が自然と追ってしまう…。)
アリュエインは自分自身でも信じられませんでした。
”自分がまさか男の美しさに目を奪われてしまうなんて!”と。
そして、王様と並びたつ美しい王子様を見た時、初めて”アリュエイン”という国を見たような気分になりました。
(彼らが……僕たちの国の王様で王子様なんだ……。)
アリュエインはこの二人の姿を見れただけでも王宮に来てよかった。
…とさえ、思っていました。