王子様のお妃候補?

お似合いだ〜。

と、考えていたアリュエインはハルルクに呼ばれたのを初めは気付きませんでした。

一人で二人の美男美女を賞賛していたのです。


しかし、


「つ・ぎ・の・か・た!」

いつの間にか目の前にいたハルルクにびっくりして
「うわわわ!!」

と飛びのきました。
そんなアリュエインにハルルクは、「やっと気付きましたか…。」と眼鏡をくいっと押し上げました。


「次は貴女の番ですよ。」


「…へ!?」


僕もやるの!!?
もー、やんなくていいんじゃない?


そう叫びそうになるのを、慌てて口を閉じました。


そして、早くしろ。と言わんばかりの視線にため息をついて、渋々アリュエインは王様と王子様の前に行きました。


「僕…じゃない私はカシェルク領から参上しました。アリュエインです。」


習った通りの礼を返して、(さっさと終わらせよう…。)と考えていたアリュエインは、王様に呼び止められました。


「アリュエイン嬢。」


(嬢!!?何か鳥肌がたってきたかも……!)


「な、何でしょう?」


精一杯の笑顔で応えると王様もアリュエインに温かく微笑みました。


「アリュエイン嬢、1番遠いカシェルクからよく来てくれた。あそこで、君の父君たちが頑張ってるのはよく知っているよ。」



柔らかく感謝の意を示す王様にアリュエインの中で好感度がものすごく上がった。


(何ていい王様なの!)


「王様のお言葉は、父様にも兄様にも、皆にもしっかり伝えます!そのように考えておっしゃってくださって、ありがとうございます!」


興奮しながら、素直に頭を下げるアリュエインに王様はビックリしながらも、アリュエインに好感を抱きました。


(なかなか面白い娘だ)


そこで、シークラントが王子スマイルでアリュエインを見ました。


「アリュエイン嬢。遠いところを遥々ありがとう。私もカシェルクのことは聞いています。これからよろしくお願いしますね。」


「はい!」


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