王子様のお妃候補?

アリュエインは有頂天でした。
自分の大好きな故郷や、父、兄たちを王様や王子様に褒められて、自然と頬が緩まっています。


(シャナにも後で伝えてあげよう!!)


一人、ニコニコしていたら突然シークラントが手を差し出してきました。



(?)


何だこれは?
の目線で彼を見ると、シークラントも”は?”という顔をしていました。


しばし沈黙が流れた後に、王様から

「アリュエイン嬢、手を出すんだよ。」


と教えてくれました。


(手?)



アリュエインは自分の手を、若干自分に差し出されてる手を見て納得しました。


(あれか。)



「アリュエイン嬢?」


シークラントが不思議そうな顔をしています。
アリュエインはシークラントに、にっと満面の笑顔を向けました。


そして、




「王子様!お会いできて光栄でした!きっと、カシェルクに戻ったら皆に自慢できます!城にいる間はよろしくお願いします!」



アリュエインは、そういうやいなやシークラントの差し出された手を握り返しました。


「…え!」


シークラントの戸惑いも気にせず、アリュエインはぶんぶんと握った手を揺らして手を離しました。


「アリュエイン嬢…?今のは?」



「へ?握手ですよ、握手。見ればわかるじゃないですか。」


さすがのシークラントもアリュエインの言葉に驚きを隠せません。


(この娘は、挨拶の仕方を知らないのか!?)


王宮では、異性と話した後は必ず男が女の手に口づけをして別れる習慣がありました。


なのに、アリュエインは握手だと勘違いしていたのです。



(毛色の変わった奴を連れて来ちまったみたいだなぁ)


シークラントは、アリュエインを見つめました。

その瞳にはどこか面白いものを見つけた子供のような光が見えました。




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