王子様のお妃候補?
王様もその様子を可笑しそうに見つめていました。
そんなことを知るよしもないアリュエインは、王族っていい人たちばかりだなぁ…と、満足していました。
(王族って前呼んだ本では、残虐非道で我が儘な人たちって感じで書かれてたから、少し不安だったんだよなぁ。…全然いい人たちだし!!)
「じゃあ、自己紹介も終わったことだし、娘さんたちは自室で休んでもらうとしよう。…なお、明日からは自由に王宮で過ごしてくれてかまわない。」
王様の言葉に、アリュエインはさらに嬉しく思いました。
(自由にしていいのか!じゃあ、何しよう??街に行ってみたいし、王宮を散策するのもいいよな!?あ、王宮には珍しい書物がたくさんあるって聞いたことある!!うわー…やりたいことたくさんある!!)
一人で明日からの自由な生活をアリュエインは思い描き、自然と笑みがこぼれた。
突然、にやにやしだしたアリュエインを他の令嬢たち気味悪く見つめていたのに、アリュエインは気付かなかった。
「じゃあ、部屋に戻るといい。あと、自由と言っても、街に出たりは勝手にしてはいけないからね。」
「えー!」
しまった……!
そう思った時には遅く、皆の視線をあびてアリュエインは居心地悪く苦笑いした。
「は、はは…。………すすみませーん!!」
慌てて頭を下げると頭上からクスクス笑うのが聞こえます。
アリュエインは”??”と顔を上げると、王子が口に手をあてて笑っていました。
その顔はいつもの澄ました笑顔とは違い、楽しげな笑いでした。
「…クスクス。失礼。あまりにも残念そうな顔をするから…。」
アリュエインはもう恥ずかしさで顔が真っ赤に染まっていました。
(僕…そんな残念そうな顔してた!??)
そんなアリュエインにシークラントは笑い続け、それに感染されたのか王様まで笑い始めてしまい、アリュエインはいたたまれなくて身体を縮こませるしかできませんでした。