王子様のお妃候補?
アリュエインは剣をふるいながら、気持ちが高揚していくのを感じました。
(こんなに強い奴と合うのは久しぶりだ。……楽しい!)
アリュエインはフェルナンドから繰り出される剣技を避けながら、自然と口角を上げて笑いました。
「…ハァ、ハァ、強いな。フォル。俺にここまでてこずらせるのは、隊長くらいなんだぜ?」
「ハァッハァッ。僕もフェルナンドみたいに強い人とやるのは久しぶりだ…。」
距離をとり、相手を鋭く見据えながらも互いに面白そうな笑顔を見せました。
「……ハァハァ」
「……ッハァ」
息を整えながら、アリュエインは高ぶる気持ちのままフェルナンドに微笑みました。
「そろそろ決着つけるから。」
フェルナンドも悪戯っ子のように、歯を見せて笑いました。
「ははは。…そうだな、決着つけてやる。」
兵たちも”決着”を見届けようと、生唾を飲み込んで二人に集中しています。
そして、
二人が走り出した。
「……ハァアっ!」
「………っぁあ!」
カーン!!
「「……あ」」
二つの剣が宙を舞う。
カンカン
二つの音と同時に剣は地面にたたき付けられた。
「両者、剣をはじかれた時点で終了。引き分けだ。」
デボンの声だけが、静まる空間に響いた―…。