王子様のお妃候補?


アリュエインも、思わずギョッと身を引くと、扉から現れたのは紛れも無く、アルファティア王国の王様でした



「はは、おはよう。アリュエイン嬢」



「お、おはようございます」



慌てて頭を下げると、王様は気楽にしてくれ、と笑顔で応えてくれました



「アリュエイン嬢、そんな頑なにならんでもよろしい。そなたは、我が息子の妃候補であるのだからね」



「は、はぁ…」



さっきまで、それを辞退するだのなんだの話していただけに、この場だけといえ頷くのはバツが悪いな…と、アリュエインは曖昧に返事しかできませんでした



後ろの方からは、シャナの

”余計なことを言ってはなりませんよー…?”



という、視線を受け、アリュエインは苦笑いを漏らしました



「アリュエイン嬢は1番の長旅だったのだなご苦労をかけたね」



「いえ、滅相もありません。ぼ…私たちは普段、カシェルクを出たことはありませんから、旅はとても新鮮でした」



それは嘘じゃありませんでした


カシェルクではあまり見ない工芸品や、町並みを思い返すとアリュエインは自然と微笑みを浮かべていました



(綺麗だったなぁ…。アルファティア王国は本当に綺麗な国なんだって実感したんだよな)



その表情を見てか、王様もアリュエインをニコニコと見つめていました



(いい、顔をしている。国を想っいる瞳だ…。)





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