王子様のお妃候補?


「王様、いきなりどうなさったのですか?」


不躾かとは思ったが、アリュエインは聞かずにはいられませんでした

まだ、朝ご飯も食べていないというのに、王様自ら部屋に来るなんてー…?



「あ、アリュエイン様」


シャナが、慌てて口を挟もうとするが王様は、うむ、と頷いてから朗らかに言いました



「実は、今日は朝から時間が空いておってな。せっかくだから、未来の娘候補たちに朝の挨拶をしようと思ったのだよ」



はっはっは。と笑ったあと、しかし、と王様は口をすぼめて言いました


「朝の挨拶にすぐさま応じてくれたのはアリュエイン嬢だけでな。皆、朝の支度とやらがまだ済んでいないらしく、挨拶をする間もなく侍女たちに追い出されてしまったよ」



「皆さん、寝ぼすけなんですね」



普通に相槌をうつアリュエインに対し、シャナもメイも苦笑いしかできませんでした



(喜んでいいものか、令嬢としてはどうなのか…)



「あ、王様。」


アリュエインはある事を思いついて、ぽんっと、手を叩きました


「なんだい?」



「王宮の外へはまだ行けないんですよね?なら、王宮内を探検しに行きたいですけどいいですか?」



「あ、あああアリュエイン様!!王様に何言ってらっしゃるんですか…!?」



(王様に、そんな気軽な感じで王宮内を探検したいなどと…!!)



さすがに王様を、目をパチパチさせながらアリュエインを見つめていました



「駄目ですか?」



しょぼん、と頭をたれるアリュエインに、王様は、いやいやと首を振り柔らかい笑みを浮かべました



「いや、部屋の中でじっとしているのもつまらないこともあるだろう。王宮内は好きに見なさい」



「え?!やったーっ!!」



ガッツポーズを振り上げるアリュエインに、王様は笑いを隠し切れず、ハハハハとまた豪快に笑い出してしまいました



「あ、す、すいません…」


さすがに恥ずかしくなって、アリュエインが腕を下ろすと、王様は

「そなたは元気な娘だな」


と、愉快そうに目を細めていました


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