先生は官能作家
「…何処にも行かないで、リュウちゃん」
うっすらと開いた目。
伸ばされた手を掴んだ。
「何処にも行かねーよ」
「良かった…」
そう言って結城はまた目を閉じた。
″何処にも行かないで″
その言葉が離れない。
それに、誰の名前だ。
リュウちゃんって誰だよ。
俺は竜次だけどそんな風に呼ばれた事はない。
結城の中にいる他の男。
それすらも判りはしない。
俺は彼女の為に何が出来る。
何が出来るか考え続けた。