相合傘
「ええええ誰なの?」
勢いよくあたしに飛びかかって来た。
「優実、落ち着いて!」
「だめだめー。話してくれるまで動かないっ」
もお!意地でも逃げてやる。
この話、誰にも言ってないけど、さっき宣言したせいで
あたしの机の周りには、たくさんの人が集まっていた。
「誰なの?柊斗?」
「やっぱ柊斗だよなぁ~」
「絶対柊斗だよ!らぶらぶだもんね」
周りからチラホラそんな声が聞こえる。
「え!やっぱ柊斗なわけ?」
周りからの声に惑わされて、あたしを疑い始める。
「いやそのぉ…」
みんなに押しつぶされそうな勢いで、あたしは声と供に小さくなっていった。
それ以上、言わないでー!!
言っちゃダメ―!広がっちゃう!
「柊斗じゃあないもーんッッ」
あーあ。言っちゃた。
本当は柊斗のこと好きなのに。
素直になれないなぁ。
「何?俺のこと呼んだ?」
そこには柊斗の姿があった。