月見山の巫女
(あれから一ヶ月…)



自然とそばに居ることが多くなり、だんだんとそれが当たり前になった。


ちらりと皐月へ視線を移す。

近くにいれば自ずと相手の性格は掴めてくるものだ。

…皐月はあまり表情を変えない。気さくで人好きのよい彼は友人が多い。

ただ、目が笑っていない。正確に言えば、瞳に光がないのだ。

しかし、目の形は本当に笑っているかの如く形作られている。だから浅香以外、彼に違和感を持つ者はいない。

彼が誰かと話していると不自然でしょうがない。同時に、不思議に思った。


「皆と話して楽しい?」


素朴な疑問だった。


「…俺といて、楽しい?」

そしてこれが、今一番聞きたかったこと。
皐月は浅香に対しても瞳が動くことはない。

「………。」

依然、虚ろな顔で黙っていた皐月だったが、浅香の言葉に顔を上げる。


「…お前は面白いよ。」

そう言って笑った皐月の瞳は、……やはり暗かった。
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