月見山の巫女
「さぁ、何処にいるんだろうな。」


声がすぐ近くから聞こえたことに驚いた。

気付けば、皐月は浅香の隣に立っている。そして同じ様に辺りの景色を眺めていた。


「何で俺が嘘吐きなんだよ。」

「……。」

「お前に嘘ついたことなんてあったか?」

「……。」

「…おい、何とか言え。」

むぎゅっと頬を引っ張られた。

「言わないならもう片方も…」

「い、いひまふからひっはらないで!」

皐月の手をバシバシ叩きながら訴える。

(…なんか情けない声が出た気がする。)

…実は容赦なく皐月が引っ張る為に、顔も情けなくなっていた。




ようやく離された頬を擦りながら浅香は皐月を見た。


「とりあえず明日一緒に遊ぼう。」

「…は?」

「どこ行く?」

浅香の頬へ再び皐月の手が迫った。しかし、皐月を見つめる浅香の瞳には、強い光がともっていた。

思わず手を止めた皐月は、結局浅香に何もせず手を下ろす。


「………俺さ、さっき嘘つきは嫌いって言ったよね?」

「…あぁ、言ったな。」

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