風が聴こえる

少女との出会い

飲みっぱなしのお茶、脱ぎっぱなしのパジャマ、しわくちゃに丸められた布団・・・。仕方ないので片付ける事にする。全く、個室ならともかく、相部屋でこんなに散らかすかよ。

とりあえず付けっぱなしのテレビを消そうと、テレビの方へ向かうと、こぼしっぱなしのお茶で滑ってしまった。

ガクゥン・・・!!

 相部屋のベッドが大きく揺れて、痛みが頭にこだまして響く。

「いってぇ・・・。」

 今俺、かなりかっこ悪かったよなぁ・・・。おふくろめぇ、後でしっかりしつけねば・・・。

「う・・うぅん・・・。」

 頭上から、高くて細い声が、小さな欠伸をした。・・・もしかして、起こしちまったかなぁ・・・?

「ごめん。起きた・・・・?」

 あわてて立ち上がった俺が見たのは、茶色の瞳の、ショートカットの少女だった。俺に気が付いているのかいないのか、視線は俺より少し左を見ている。

「準く・・・ん?」

 茶色い瞳の少女は、問いかけるように呟いた。
< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop