【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー
麗子は慌てて、さっき
コンビニで買ったマスクを
突っ込んでいたポケットから
取り出し、掛けた。
顔の2/3の面積を覆い隠す
マスクは、想像以上に
怪しい。
素性がバレない様にした筈が
尚更、目立っている。
目線はそのまま常務に
釘付けだ。
そんな常務が辺りを気にする
ついでに麗子の方を見た!
常務がただならぬ気配に
気が付いた様だ。
急にソワソワしだして
女の子にヒョイと片手を
挙げて挨拶し、伝票を
掴むと入り口へ急ぐ…
《これは面白くなって
来たかも…♪》
時間差で麗子も立ち上がり、
会計を済ませて自動ドアへ
向かう常務の後を追った。
常務は早足で駅前通りを行く‥
いきなり角を曲がったので
麗子も走り出した。
二日酔いの身に駆け足は
まだキツイ!
頭が脈打つみたいに
なっている。
常務が曲がった角を
曲がると突然、何者かが
麗子の前に立ちはだかった!
『わっ!』
あわや正面衝突の相手は
常務だった!
《ヤバっ!見つかった!》