【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー


『えっ!いいの?
行く行くー♪
ぜーったい行く~♪』

チーフのお誘いに麗子の
テンションは更にアゲアゲに
なっている‥

『夏に向けてのヘアメイク
なんだけどね、業界じゃ
2月から夏物考えなくちゃ
いけないのよ。

大体、化粧品メーカーが
夏物を発表するのが
2月、3月頃だから、その時期に合わせて
行われるの。

モデルもまだ決まってないし、
何度チャレンジしても
慣れないわね。』

普段は自分でカリスマって
言っちゃう様なチーフが
珍しく弱気だ。

『チーフ、アタシがモデル
やってあげよっか?
な~んてね♪ムリムリ♪』

テンション、アゲアゲに
乗っかって冗談混じりで麗子が
言った。

『・・・そうねぇ、
それ、良いかもね♪
思い切ってお願いしちゃおう
かしら♪』

『えっ!マジで?冗談の
つもりだったんだけど…
モデルなんてやった事無いし、
他の人は本物のモデルみたいな
人ばっかりなんでしょ?
訂正!やっぱムリ!』


麗子は自分から立候補して
おきながら、いざチーフが
本気モードになると、
たじろいだ。

一方その頃、一人の男が空港から
リムジンバスで此方に向かって
接近して来ていた。

長谷川瑞希 29歳。

アルマーニのスーツで
身を固めた、これまたキリリと
したイケメンだった。


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