【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー
『長谷川瑞希って、
やっぱりアンタだったのね。』
チーフが落ち着いた口調で
男に言った。
『すっかりオカマの様な
喋りが板に着いた様だな。
今の流行りに乗ったって訳か?
それとも‥あの時の
カマを掘られた後遺症か?』
《カマ?!
ほ‥掘られた?!》
今の長谷川の言葉が
麗子にハルマゲドンなみの
衝撃を与えた。
《つまり‥チーフの
お姉キャラは・・・
それが原因?》
クラ~☆
麗子は長谷川の衝撃発言に
軽いめまいを起こした。
長谷川が更に言葉を被せた。
『左ハンドルに慣れない
お前が、高速なんか走りやがる
から、未だにあいつは‥
シンディは目覚めない。
その上、彼女があんな状態だっていうのに、
お前は自分だけ帰国して
涼しい顔で店を出したって
訳だ!』
チーフは長谷川から目線を
逸らすと暫し目を閉じていた。
再び長谷川を見ると、
『聞いてくれ長谷川。
あれはどうしようも無い
事故だったんだ。
それに彼女には元々、
脳腫瘍があって…
アンタだって知ってただろ?
あの日、彼女が無理矢理
俺の車に乗り込んで来たんだ。
走行中に彼女が頭痛を
訴えて意識を失いかけた。
それで一旦、スピードを
緩めたところに後続車が
突っ込んで来たんだ!』
『どう巧く言い訳したところで
アイツを病院に送り込んだまま
お前が消えたのは事実だろ?』