【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー
麗子は以前観たレンタルDVDの
洋画でヒロインが使っていた
セリフを言い放った。
一度、使ってみたかったのだ。
『何だよ!
可愛い気ない女だなぁ、
普通、男がここまで頭下げたら
許すだろが!
心の狭い女だなぁ、
あ~ヤダヤダ、合コンで
電話番号、渡したらホイホイ
ついて来たくせに、ちょっと
他の女と遊んだら、もう
嫁気取りかよ!
バカな女‥
お前なんかなあ、・・・
キープだよ!キープ!
それに‥』
ガチャ!
バ―――ン!!
慎也が最後の遠吠えを
言い終える寸前で、勢い良く
ドアが開かれた。
慎也はドアに弾き飛ばされ、
派手に両足を上げて尻もちを
着いた。
パシャン!
バシャ!パスッ!
間髪入れずに慎也の身に
何かが降り注いで来た。
『うわっ!なっ、
やっ‥やめっ‥』
『なにが嫁気取りよ!
飽きて他の女の所に
行ったんなら、のこのこ
帰って来るんじゃないわよ!
オーストラリアの
土産かっつーの!
昨日、アタシが気持ち良~く
カッ飛ばしてやったのに、
「ごめぇ~ん」って!
ナニそれ?カッコ悪~!
こんな男のために2年近くも
しょ~もナイ時間過ごして、
こんなケーキまで焼いた
アタシは、ほんっ‥と
バカな女よ!
判ってるなら戻って来んな!
このブーメラン男!
そうやってあっちこっちで
一生弾き飛ばされてなさいよ!
この!ピンボール男!』