愛の手
――…
「昨日はゆっくりされましたか?」
「げほっ!!!」
にこやかな問いかけに、あたしは口にしていたものを全て吐き出した。
いまはちょっと遅い朝ご飯中。
組員の人たちは食べたあとなので、広い部屋でポツンと一人、お食事中。
あまり触れないで欲しかった話題だったから、驚いて思わず噛み途中のモノを……
さいわい目の前には誰もいなかったから、被害はないんだけどね。
あたしは差し出されたお茶を飲んで、呼吸を整えた。
「ゆっくり……したと思います」
その言葉に深く追求せず、よかった、と言葉をかけてくれた。
「若は家族には優しいですからね。私たち組員も、家族のように扱ってくださいますし」
「……家族?」
久々に聴く家族、という言葉に驚き、箸をとめた。