愛の手
興奮気味の礼央の友達。
いまなんてヤクザの一味ですけどね。
「……ヤンチャだったんだ?」
「若気の至り、ってやつですよ」
若気の至りで総長、ね……
総長ってのはスゴイらしい。
元総長ってわかった瞬間、礼央は友達に引っ張られてそそくさと出ていった。
なにかいいたそうな顔が、学校いったときに問いつめられるんだろうな、って思わせた。
とりあえずいま退散してくれるならいいや。
「お嬢ってば、彼氏いたんですか?」
「彼氏じゃないし!! 幼稚園のころからの幼なじみで、いまでも腐れ縁なだけ」
去っていく礼央のうしろ姿を、康平さんはじっと見つめた。
「そう、ですか」