愛の手
移動したのは屋上。
密会するには最適の場所だと思わない?
でも秋にはちょっと寒い風がビュゥッて吹いて、身震いを起こした。
「ねぇ、寒いんだから用件はやくいってよ」
じゃないと本当にトイレいきたくなるんだけど。
うらめしそうに礼央の背中を見てると、大きな体があたしに向いた。
真剣で、ちょっとピリピリした空気をまとってる。
あたしは思わずごくりと喉を鳴らした。
「お前さ、昨日の康平とかいうヤツとどういう関係なんだよ」
関係……
説明したよね?
「だから新しい家族になってくれた人」