愛の手
「なん、で…?」
あたしの声も伝染したみたいに震えた。
突然すぎる提案は、心の中を乱した。
「前から考えていたことだ。浅葱の家にいる以上、危険を避けるために送迎は必須だ。だが俺の身勝手で引きとったせいで、愛理が肩身狭い思いする必要はない」
「肩身狭いだなんて…っ」
思っていない、といえばウソになる。
世間体とか、学校でのことじゃなく、あたしにした仕打ちに対して。
それなのに、優しくなでる腕に体をあずけて、安心してる自分がいる。
あたし、どうしちゃったの?
憎むべき相手なのに、あたしのココロは、甘い。
「お前はどうしたい」
「……あたし」
どうしたいと聞かれると、わからない。
ただ突然のことで、頭が混乱する。
「頼むから、選んでくれ」