愛の手

――…ドンッ


「……愛理」

あたしは総司さんの胸を、強く叩いた。

怪我の痛みからか、顔がゆがむ。



ううん……

本当は怪我の痛みじゃないって、わかってた。





「…ったしの、こと…、…いらなくなったならそういえばイイじゃない」

「愛理?」


あたしってなんで素直になれないんだろう。




「触らないでっ!!!!」

優しい手で慰めて。


「あたしのことなんて棄てればイイじゃん!!!」

そばにいさせて。


「オモチャみたいに、乱暴にしてよ!!!!」

ココロが迷うから。



「総司さんなんて、ダイキライ!!!!」





ううん……


――…ダイスキ。

< 194 / 285 >

この作品をシェア

pagetop