愛の手
傷だらけの手。
あたし小原 愛理(こはら あいり)は、ごく普通の女子高生だった。
過去形なのには、理由がある。
――…突然の、両親の蒸発。
もしかしたらもうこの世にはいないのかもしれない。
両親が残していったのは、会社で失敗した借金……
――…八千万円だけだった。
両親の生をわずかに願いながら、少しでもお金を稼ぐためにバイトを始めた。
高校に通いながらのバイトは大変で、授業もサボりがちになった。
あたしはいつしか、落ちこぼれのレッテルが貼られるようになった。