愛の手
「俺に出逢うためだ」
そういった総司さんは、向き合うようにあたしの体を動かした。
ヒザの上に乗せられて、青みがかった瞳があたしの心をのぞきこむようだった。
「愛理は、俺に出逢うために、産まれてきたんだ」
自信たっぷりの、強い意思。
まっすぐと見つめた瞳は、そらすことなくあたしを見続けた。
「愛理は、覚えてるか?」
……なにを?
理解出来ずに、あたしは小首をかしげた。
コツンッとオデコ同士をくっつけられて、前髪が鼻にかかった。
ちょっとくすぐったいけど、なんだか幸せな気持ちが伝染した。
「俺とお前、初対面じゃないんだ」
「……えっ?」
どういうこと?って続けたかったのに、あたしは口を結んだ。
ドキドキして、心臓が口から出ちゃいそうなんだもん。
総司さんは、あたしの鼻にちょんっと口をよせた。
「昔、面倒みてやっただろ?」