愛の手
「この子は、俺が一生守ってやるって、決めてたんだ」
「……そうなんですか?」
あぁ、と短く返事をすると総司さんはわずかに視線をそらした。
「両親が死んだとき、正直ほっとした。やっと、自由になれるって」
そういった総司さんの顔は、少しツラそうだった。
本当はムリしてるんじゃないのかな、って思ったのは、悲しい色をしてたから。
「浅葱組を継いで、親から自由になったぶん、行動が制限され始めた。だから俺を必要としてくれた、愛理を残すことになった」
あたしはそっと、総司さんの頬に手を添えた。
総司さんがいつもしてくれるみたいに、髪を梳くようになでた。
総司さんも身をゆだねるように、手に頬をよせた。