愛の手
いまなら聞ける気がする。
ずっと聞きたかったこと…
――…心の中で引っかかってたこと。
「なんであたしなんかを、八千万で買ったんですか?」
ずっと疑問に思ってたの。
借金とりのヤクザの巣窟だと思ってた。
でも本当はあたしを救ってくれた、優しいヤクザだったってコトで。
総司さんは抱きしめながら、何度も頭をなでた。
小さいころにしてくれたみたいに。
「お前をそばに置いておきたかったから」
低い声が、体の芯まで響き渡る。
「俺のそばにいろ」
強い口調。
命令のような言葉は、甘い呪文のように耳に響く。
「もう、俺のそばから離れんな」
「……はい」
そういって、総司さんは何度もあたしの頭を優しくなでた。