愛の手

いつものように向かう、学校への道のり。

白いゼロクランは、風を切るように走る。


「どうしたんですか、嬉しそうな顔して」

「えっ、そんな顔してる?」

普通にしてるつもりなんだけどな。


あたしは頬をグニグニとマッサージした。

それを見て、祐輔さんがクスクスと笑った。


「……なぁに?」

人のこと見て笑うなんて、失礼じゃない?


なのに祐輔さんは、笑うのをやめようとはしなかった。

「いえいえ、よかったですね」

「なにが?」


「若のそばにいられるのが、嬉しいんでしょう」


「な、ななな……っ!!!」


なんでバレてるの!?

そんなに顔に出てた!?


恥ずかしいよぉ……

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