愛の手
――…キィィーーーッ
いつものように正門に横づけされた白いゼロクラウン。
祐輔さんは運転席から降りると、すぐに後部座席にまわった。
ていねいに開けてくれて、あたしはいまだに慣れない行動に戸惑う。
「愛理さん」
呼びかけながら、祐輔さんはサングラスを外した。
家で見る、優しい顔であたしを見下ろした。
周囲は非難する声とは違った、黄色い声が聴こえる。
「ちょっと、あのカッコイイ人誰っ!!?」
「あの女とどういう関係!?」
……あぁ、確かに。
なんて納得しちゃうあたし。
祐輔さんは、雰囲気がやわらかいせいか、女の人を惹きつける力があると思う。
総司さんと違って、年下の女向けかな。