愛の手
あたしの頬にかかった髪を梳くようになでると、祐輔さんはすっと、腰を屈めた。
ん?
……違う。
ひざまずいたんだ。
「いってらっしゃいませ、愛理お嬢様」
「……へ?」
その瞬間――
「きゃぁぁぁぁーーーーっっっ!!!!」
っていう女生徒どもの歓喜な声に、あたしは耳を塞いだ。
なんでそんな送りかたするかな?
またあたし、教室で浮くんですけど。
あたしはその空気から逃れたくて、校舎まで全速力で走っていった。