愛の手
なんかそわそわしてる感じが、余計居心地悪くさせた。
席に着いても、隣の女の子があたしを見てる。
名前なんだっけ……
「あ、あの……」
カワイイ声が隣から聴こえた。
ようやく会話を始めたのかな。
あたしはほっとしてバッグの中から教科書をとり出した。
今日は数学がないのに、数学の教科書まで持ってきちゃってる。
時間割、間違えたみたい。
「あの、……小原さん」
小原。
……小原?
「へ、あたしっ!!?」
あたしのマヌケな声は、静まった教室に響き渡った。