愛の手

なんかそわそわしてる感じが、余計居心地悪くさせた。

席に着いても、隣の女の子があたしを見てる。


名前なんだっけ……




「あ、あの……」

カワイイ声が隣から聴こえた。

ようやく会話を始めたのかな。


あたしはほっとしてバッグの中から教科書をとり出した。

今日は数学がないのに、数学の教科書まで持ってきちゃってる。


時間割、間違えたみたい。



「あの、……小原さん」



小原。



……小原?



「へ、あたしっ!!?」


あたしのマヌケな声は、静まった教室に響き渡った。

< 228 / 285 >

この作品をシェア

pagetop