愛の手
「やっぱそうなの!!?」
「めっちゃカッコイイ人だったよねぇー!!!」
「私もあんな人に、お嬢様、なんていわれてみたぁーいっ」
……あれ?
クラスの女子が、全員あたしのまわりに近よってきた。
興味津々にのぞき込む女の群れ。
あたしをけなす声とは違って、クラスメイトに話しかけるように陽気な声。
「小原さんって、礼央クンと仲イイよね」
群れの中の一人が口にした。
「仲イイっていうか、幼なじみだから」
「そうなの? だから礼央クンと話してたんだね」
「わたしったら、てっきりみんなの礼央クン横どりする悪女かと思ってたよぉー」
「……ははは」
なんか、あれよあれよと誤解が解けていく。
「愛理ちゃん、って呼んでイイ?」
一人の提案に、みんな食い入るようにあたしを見た。
あたしを、このクラスの一員にしてくれるの……?
あたしはうなずきながら、赤くなった頬を隠すようにうつむいた。