愛の手
そうだな、っていいながら、礼央は扉を閉めて中に入ってきた。
長居する気みたいで、すぐそばにある小さな椅子に腰を置いた。
手足が不自由で、体も痛くて、あたしはそのままベッドに飛び込んで横になった。
立ってるのも面倒くさい。
「オレがお前の監視任されたの、なんでだと思う?」
「……あんたが矢崎組と関係あったからでしょ」
じゃなきゃ両親と一緒に、小原家を監視なんてしないよ。
礼央は曖昧にほほえんだ。
「そうなんだけどね。オレの家族、矢崎組に借金してて、下で働いて金返してんだ」
「手下だから、あたしを監視したの?」
礼央は、んー、と天井をあおいだ。
「正確には、オレと愛理がおない年だから、だ」
おなじ年だと、学校や私生活、すべてにおいて監視をしやすいから。
だから礼央を選んだんだって。
「なんであたし、なの」
縁を切った矢崎組。
いまさら血がつながってるっていわれても、あたしには関係のない話しなのに。
なんで、いまさら?