愛の手

「な、んで……っいる、のぉ…っ!!」

「愛理がいないからだろ」

「う、ぅ…っ」

優しく包む総司さんの腕。

もう何年も触れてないみたいに、凍える体をあたためてくれた。



「怖い思いさせて、すまなかった」

あたしは首を横にふった。


大丈夫だよ、っていいたくて、首を何度もふった。

本当はあたしの体、痛くて悲鳴あげてるんだけどね。


でも総司さんに会えない不安より、全然マシだよ。




「もうこれ以上、矢崎組に手出しさせねぇ」

「……ん」

「これからは俺が送り迎えする」



「……え?」

「だから安心しろ」


嬉しいけど、それじゃあ総司さんの負担になるだけじゃん!!

毎日送迎って、祐輔さんですら申しわけないのに、組長みずから送迎なんて……っ!!!


あたしはそこだけは、頑として首を縦にふらなかった。

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