愛の手

あたしが言葉にしぶっていると、総司さんがゆっくりとブレーキを踏んだ。


浅葱組の、門の前。

門には祐輔さんや仁さん、康平さんが立っていた。



「お嬢っ!!!!」

「みんな……っ」

待っていたみんなのところに、あたしは走って近よった。


だって運転手は総司さんだもん。

扉の開け閉めは自分で、ってね。



あたしがそばまでよると、みんな額に汗が浮かんでることに気づいた。

もしかして、あたしのことさがしてた?


「申しわけありませんでした、お嬢!!!」

「え、仁さん…っ!? 顔あげてよ」

直角九十度に腰を曲げて謝罪する仁さん。

仁さんのせいじゃないのに、なんでそんな謝るの?


「全く、お前のせいだぞ、仁っ」

フェラーリ様から降りた総司さんは、ため息混じりに仁さんの前に立った。


「も、申しわけありません…っ」

普段無口な仁さんも、総司さんの威圧にとっても怯えてマス。


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