愛の手

――…


結局、なんでもするといってきかない周防さんには、あたしの迎えの仕事がまわされた。

朝はいままでどおり祐輔さんがするんだってさ。


なんでかって聞いたら、祐輔さんが一番見た目が普通だから、らしい。

確かに、朝からいかにもヤクザ!!な人に送られるのって……注目浴びるよね。


それに仁さんより厳つくて強面の周防さんだもん。

……怖いだろうな。





「愛理、きなさい」

「……はい」

あたしは総司さんの部屋にまねかれた。


総司さんの横には、薬箱。

向かいあうように座ると、薬箱をカチッと開けた。


話しよりも先に、消毒が最優先だって。




総司さんは、消毒液で湿らせたガーゼをあたしの頬に乗せた。

< 268 / 285 >

この作品をシェア

pagetop